- 低コストでの導入とHACCPの導入事例 - https://haccp.zenkaren.net -

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毎日15分で確実に出来るようになった。

これで洗いの要領をつかみ、他の機械洗浄も次々と改善し、効果アップとコストダウンの両方を実現した。

ある惣菜工場では全面的な泡洗浄を導入したら、それまで10人で2時間かかっていたのが、3人の作業で50分で出来るようになった。

2-1-7.「隅」を無くすレイアウトで清掃効率アップ

[1]作業テーブルや製造機械が壁際にくっついていると、隙間が清掃しにくいので、ゴミ、埃、細菌、カビ、そして虫の発生源になる。

ある魚介類加工工場の一つの作業室で、壁際に接した4台の作業台と4人の作業員が下処理をしていて、壁際が清掃しにくかった。そこで作業台を部屋の中央に移動し、作業員は壁に背中を向けて作業するようにした所、壁際が汚れにくく、簡単に清掃出来るようになった上、向かい合わせなのでお互いの作業状態が分かり、作業時間の短縮、つまりはコストダウンにつながった。

2-1-8.異物混入のクレーム減でコストダウンと信用を得た

毛髪や虫の異物混入には多くの食品工場が困っているが、ある製菓工場で一般的衛生管理の徹底とHACCPを導入した結果、導入前と比べてクレーム件数が劇的に減った。このことをこの工場の社長は「大変なコストダウン」と表現した。

ある工場では「クレーム1件3万円」と計算している。顧客に謝りに行くのと対応策にかかる時 間的コストだ。別の工場では「10万円」としているが、ここは全国に販売しているため交通費がかかるから。それがほとんど無くなったので「コストダウン」と表現したのだ。

しかしもっと大きな問題は顧客がいなくなることだ。一般的にクレームを言ってくる顧客は2割程度で、あとの8割は何も言わずに「二度と買わない」という行動になる。更にその一部は人に言いふらす。こうなると、工場側が「知らないまま、顧客が減っていく」事になる。

2-1-9.製造環境の短期改善と検証コストの段階的コストダウン

[2]ある食肉パック工場で一般的衛生管理を強化するためにATP検査器を購入するとき、百本の検査スティックを同時に購入し、工場のあらゆる所のふき取り検査をまずやった所、汚染している所が数多く発見された。洗浄方法や手順の改善をしていき、1ヶ月後にはかなり良くなった。更に改善を続けるために、毎週10ヶ所をランダムに検査した所、ぽつぽつと問題が発見されるので、順次改善していった。そして3ヶ月後から、月に10ヶ所の検査に切り替え、継続して検証を続けている。これによって、最初は検査コストがかかったが、改善を続けていった結果、製造環境は良くなり、検査コストも大幅にダウンした。

2-1-10.近代化で売り上げ急増

鯛焼きを製造している出雲市の製菓工場「はら屋」では、山陰だけでの販売から全国への販売に拡大するため、古い工場を買って一般的衛生管理の徹底とHACCPを導入した所、旧工場では絶対に無理だった販売先が納得し、一気に販路拡大が成功し、3年で売り上げが約10倍になった。