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る時間は0.6秒だと言われている。時間と、人数と、時給とを積算して年間にしたら大変なコストになる。その上、異物混入の危険を放置していることになる。コンベアなどでの無人搬送でも、エネルギーコストがかかり、落下物による危険が多くなり、時間あたりの生産効率を低下させている。

a)真空パック機の移動で改善

[1]ある漬物工場では、生鮮の野菜原材料からの製造と、塩蔵山菜を戻した製品の2つの製造ラインがある。十年以上前に塩蔵からの製品ラインに真空パック機を入れていたのだが、数年前から生鮮原材料からの製品でも真空パックを使うようになり、遠いところにある塩蔵の真空パックまでキャスターで移動して、また元に戻っていた。最近では塩蔵からの製品は少なくなり、生鮮からの製品の方が真空パック機を多く使うようになってきた。

永い歴史の中で次第にこうなってきたので、この非効率さに気付かないまま来ていたが、HACCPの動線とゾーニングの検討の中で、これが発見された。解決は簡単で、真空パック機を生鮮からの製品ラインに移動しただけだ。少し残っている塩蔵からの製品も、冷蔵庫の中を移動するだけで問題ない。これによって、かなりのコストダウンと、製造効率アップ、そして異物混入危険率の減少につながった。

b)成型機の移動と落とし工程の工夫で改善

[2]ハンバーグやコロッケを作っている工場ではスパイラルフリーザーを使って急速凍結をしていた。コロッケは、成型機→バッター液付け機→パン粉付け機→急速凍結、の工程だが、ハンバーグではバッター液もパン粉もないので、この長いラインの間を単純にコンベアでつなげていた。コロッケとハンバーグを切り替えるときは間のコンベアとバッター及びパン粉付け機を入れ替えていたわけだ。

HACCPの構築の中で、ハンバーグ製造時のコンベアの長さによるコスト及び異物混入危険率の問題が指摘された。改善策は、成型機そのものを移動することになった。コロッケ製造の後、バ ッター液とパン粉機を外し、成型機をスパイラルフリーザーの入り口まで移動して、直結したのである。これによって凍結前に露出していたラインは大幅に短縮された。

この改善ではもう一つ画期的なアイデアが出た。成型機から3列になってハンバーグが出て来るが、スパイラルに入って行くコンベアに対して斜めに落とし込むことで、凍結のスピードを速くすることが出来た。凍結が早ければ早いほど品質は良くなる。更に、スパイラルの回転の外側に寄せておくことで、パティのねじれをある程度少なくすることも出来たし、これによってわずかだがスピードアップが出来た。

c)熟成方法を変えることで改善

ある納豆工場では、蒸煮した大豆に納豆菌を噴霧してミニカップに入れた後、サンテナーに乗せ、キャスターで熟成庫にいれ、熟成が終わって納豆が出来たら、長々と包装室まで運び、トップシールをしてからサンテナー又は箱詰めをしていた。これだと、ミニカップ入れと熟成庫の間の距離、熟成庫から包装室までの距離、この二つが危険と非効率になっている。実際に虫などの異物混入ク