- 低コストでの導入とHACCPの導入事例 - https://haccp.zenkaren.net -

32

レームが多かった。

[1]以前のトップシールは密閉するタイプだったので、トップシールをしてしまったら熟成が出来なかった。そこで通気性があって熟成が出来るタイプのトップシールに変えることにした。ミニカップに入れた後、インナーフィルムをかぶせ、タレと辛子を乗せ、トップシールまでを一つの工程機械でやってしまう。こうすれば異物混入の危険はなくなる。熟成庫にいれ、納豆になったら包装室に持って行って箱詰めすればよい。安全性と効率を確立することが出来た。

製造動線は、戻ってはいけない、交差してもいけない、これが原則だが、更に「短く」することで、生産効率と安全性まで追及できる。あなたの工場の製造動線は無駄に長くないですか?もっと短くすることは出来ませんか?分散している作業をまとめて短くすることは出来ませんか?

10)ボトルネックを無くすことで、コストダウンと安全性アップを実現

ボトルネックとは、飲料の入っているボトルは首(ネック)のところが細くなっていて、中の飲料を出すとき、一気に出ない。飲料はこれでいいのだが、製造で大きな「待ち受け」があると、その工程での待ち受け時間が増え、ここのネック一つだけで製造効率を落としている。こういう場所をボトルネックと呼んでいる。更に待機中に異物混入の危険がある。

ある惣菜工場では、加熱後の急速冷却工程の前に、待ち受けのキャスターがいつも渋滞している状態だった。ここがボトルネックなのはわかっていたのだが、もう一台急速冷却機を入れるかどうかの検討のため、どの程度問題になっているのかを検証してみることにした。

このようなとき、製造工程それぞれで、何分で作業をしているか観察計測をしてみる。

この例の製造工程では、分かりやすくごく概略で書くと、原材料出し(約30分)→下処理(約 30分)→加熱調理準備(約30分)→加熱調理(約30分)→冷却(約60分)→パッケージ(約 30分)→外包装(約30分)、となっていた。

全製造工程で、冷却だけが60分で、あとは大体30分ぐらいで終わっている。こんな状態だから、製造作業の始めは冷却前の待ち受けはそれほどではないが、次第に溜まりだし、長蛇の列になって行き、置き場所が無くなってくるので、その前の工程で調整するしかなかった。だから前工程で無駄な作業者のコスト、つまりは待ちながら何もしていない時間コストがかかっていた。この無駄な待ちコストは、冷却後も同じだ。なかなか冷却が終わらないので、作業者は手持ちぶさたで、何もしていない時間が多い。

この「冷却60分」部分が、製造時間を決めていたことになる。学校の先生がよく言う言葉で「一人が5分遅れたら、それ掛ける人数分の時間を奪っている」というのがあるが、同じことだ。 冷却機を一台追加し、ここを30分にすれば、全ての工程を30分にすることが出来る。製造コストが半減するわけだ。おまけに待ち受けの滞留中での異物混入の危険性も大幅に低減することになる。

11)従事者の動線改善で毛髪混入を改善した寿司シャリ玉製造工場

ある米飯工場では寿司のシャリ玉を製造して惣菜店やスーパーに卸している。卸先ではその上に魚介類の切り身を乗せて寿司にしている。

手作りのため、毛髪混入クレームが絶えず、毎月数件出ていた。一般的衛生管理を徹底し、ローラーをしっかりする活動を続けていても、毛髪混入クレームは同じ状態。

あるとき、ちょっとしたショックで毛髪は落下するという話を聞いた衛生管理担当者は、自分の工場の特性に気が付いた。通路で従事者がかなり交差しているのだ。