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とで、その食品の状態が正常に輸送されたことを証明する。

食材を輸入する場合、製造工場から自社品になるまで、保管温度が大丈夫だったか検査すべきだ。この輸送時の温度チェックは国内の輸送でも簡単に出来るカード式の温度記録システムがある。

b)緊急に原材料の安全性を確保する方法

[1]多くの食材を仕入れている工場で、緊急に原材料の安全性を確保する為には、原材料をふたつの群にわける事から始める方法がある。

問題になる可能性が多いものと、そうでないもの、この2つに分ける。

問題が大きい可能性のあるものは、一般的には肉、魚、青果、豆腐などの冷蔵日配品などだ。温度、鮮度管理が悪ければそれが製品に跳ね返ってくる。

今まではそのまま受け入れて保管に回し、下処理に入ってから経験的に問題を見付け、慌てて入れ替えるなり、使わないなり、代換え品にしたりといった処置をとっていたものだ。

もうひとつは調味料、瓶缶詰、乾物などで、これらは今までのままにする。

こうすると、チェックを厳しくする原材料が、例えば2割程度になり、集中することが出来る。

チェックする内容は期限、入荷時の温度、目視確認、臭いや香りといった官能検査、色、試食など、その原材料の安全性と品質を確認出来る方法を組み合わせる。

ある惣菜工場では、生鮮原材料の納品時、多忙で温度測定がなかなか出来ないでいた為、温度計を搬入場所に置き、納入者に自主的に温度を測ってもらい、記録してもらうようにした。これだけだとちゃんとやってくれないかもしれないので、週に1回程度、温度チェックに立ち会うようにし、これを納入業者にも伝えた所、確実に出来るようになった。これで軽微な問題がいくつか発見され、解決もできた。

c)原材料の保管

西日本のある工場で、立入検査によって冷蔵庫内で期限切れの原材料が見つかった。

工場側ではこの期限切れ原材料は分かっていて、廃棄処分することになっていた。ところが置き場所が他の問題無い原材料と同じ所だったので、指摘した。

これは、工場側で分かっていても、監査でそれが区別されていなければ、それが本当に処分されるものなのかどうか判断が出来ないから当然こうなる。また、区別していないと、間違えてそれを使ってしまう可能性は十分にある。だから問題なのだ。

対策は、使ってはならない原材料や不良あるいは不良の疑いがある製品、食品は、誰でも分かるように隔離することだ。

冷蔵庫を別に出来るならよいが、そうもいかない所も多いだろうから、パーティションやチェーンで囲んで「使用禁止」とでも大書して明確に区別しておくこと。

更に、簡単に出来る記録の工夫も必要だ。いつ、どこから入った原材料で、いつまでに使わなければならないかを、まず入荷時に記録をする。そのあと、何ケースが、どの製品向けに使われて行ったのかを記録して行く。そして最終的に、いつ使い切ったのかが記録される。

これによって、期限切れ原材料が使われていない証明になると同時に、トレーサビリティにもつながる。

d)低温作業室の温度

低温の作業室の温度設定は一般的に3段階で考える。

冷房:18~20℃程度の、一般的な冷房で可能な温度。

中温:15℃。冷蔵庫まで下げられないが、冷房よりも低温が必要な温度。