- 低コストでの導入とHACCPの導入事例 - https://haccp.zenkaren.net -

35

冷蔵:冷蔵庫の温度。

e)原材料の鮮度と在庫を改善

[1]在庫を適正にする。あるいは少なくすると、回転率が上がる。今まで満杯でどうしようもなかった倉庫がすっきりする。原材料の使用期限のリスクが減り、常に最新状態の鮮度の原材料を使用するようになる。保管コストも減る。鮮度が良くなるので、製品の品質が上がり安定する。良いことばかりだ。

ある食肉のパッケージセンターは、新設して3年も経っていなかったのだが、清掃が行き届いていないために、汚染、臭いが出ている。せっかくの新設工場が無残な状態なのだ。

どのようなクレームがあるのか聞いたら、鮮度が悪い、ドリップが多い、色が悪い、そして異物混入。この中で8割が鮮度、ドリップ、色といった品質問題だ。

そこで単純な作戦を立てた。冷凍庫を始めとした大掃除をまず行ない、そのあと原材料の鮮度と在庫の管理を進めることにした。

冷凍庫の中にある原材料を全て出してチェックしたら、もう使わないもの、期限切れで使えないもの、半分残っているが冷凍焼けでダメになっているものがあった。これらを捨て、まともな原材料を整頓して戻したら、半分以下になっていた。

使える原材料も、日付順に並べ(今まで先入れ先出しも、大混雑状態の中で出来ていなかった)、最小在庫状態よりも練習のため少し大目に維持するようにした。在庫場所を決め、先入れ先出しを徹底し、目視で状態が一目でわかるようになった。日増しに原材料の鮮度が上がり、在庫が減り、発注がシンプルになった。

約半年後、それまで年間300件程もあったクレームは、数分の一に激減し、この状態で行けば翌年のクレームは過去の1/10に出来そうだ。

2)薬剤、化学物質の安全管理

ある牛乳工場で、パッケージ室の中にジアソーの原液ボトルが置いてあるので驚いて聞いたら、その横に置いてあるステンレスの洗浄槽で、パッケージ機の部品の洗浄を行うからだという。しかし「そのジアソー液が間違えて作動中のパッケージ機に入る危険はないか?」と聞いたら「うーん、無いとは言えない」

これは、その隣にほとんど不要な機器を置いてある倉庫があったので、そこに洗浄槽とジアソーを移すことで解決した。

洗浄の際、洗浄液のすすぎ不足で洗剤臭かったり、消毒液の臭いがするという事故がある、牛乳や水といった製品に多い。2000年にベルギーの小学校児童が同じ清涼飲料を飲んで、集団食中毒症状をおこした。製品が問題だという推定で調べたが、問題は発見されず、引き続き調べていったところ、缶飲料を保管してあるラックに残っていた消毒剤が缶飲料の飲み口についたことがわかった。

缶飲料の保管というのは、飲み口側に埃が付かないように、飲み口側を下にして置くことが多いのだが、この事件の場合、倉庫の消毒を行なったときに、何も乗せていない棚の上に消毒液が残っているところに清涼飲料水の飲み口側を下にして置いたためだったようだ。児童は消毒液に口を付けて飲料水を飲んだことになる。

食品機械に使う脂、潤滑油、ホワイトオイル類は食品専用を使わなければならない。また、たとえ食品用オイルを使っていても、食品に混入しないような方法を取っていなければならない。元の大きなボトルの保管場所を決めることと、機械の側に置く場合でも、機械下の扉内ボックスに入れておくなど、危険率が最低になる工夫やルールが必要だ。

殺虫剤も同じ。先日ある調味料工場に行ったら、製造作業室内にスプレー式の殺虫剤が転がってい