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地下水を食品に添加する場合、飲用適に消毒する。食品に添加しない場合でも、食品が触れる場所、食品機械やタンクの内側などを洗浄する場合、間接的に食材に触れることになるので、飲用適にする。消毒が間違いなく行われているかを定期的に検査する。

この他に電解水など、装置を使った機能水を使っている所も多い。この場合も安全に機能水が造られているかを頻度を決めて検査すること。

3)地下水の汚染事例

あるスーパーマーケットで、バックヤードで使う水を地下水にした。開店してしばらくしてから、7千人を超える大規模食中毒になった。この水が病原性大腸菌に汚染されていたのだ。トイレのし尿があふれ、それが地下にしみ込み、地下水が汚染され、殺菌しきれない水を使って、魚を処理し、野菜を洗ってしまったのだ。開店時の水の検査は合格しても、その後汚染されたのでは、たとえ毎月の検査だったとしても間に合わなかったわけだ。

4)チラー水の供給

[1]スーパーマーケットの鮮魚売り場のバックヤード(加工作業室)で、やはり魚の処理をするのに、シャワーを使って魚を洗浄しているが、これも夏場水道水を使ってのんびり洗ったりしたら、魚の鮮度を落としてしまう。同じように、冷塩水を使うなり、大型店舗ならチラー水の設備をするのが良いだろう。

海鞘(ホヤ)、牡蠣、ホタテを漁港市場から買い、むき身に加工している工場では、減菌冷却海水を使っている。海水を減菌し、冷却してチラー水にしたのを工場内に入れ、これでむき身にした貝の身を洗浄している。そしてロケット包装(チューブ包装)やトレイパックでこの水と一緒にパッケージしている。

ブロイラーの加工工場では、鶏を絞めたあと、羽根を取り、そのあと内蔵を取る。肉本体と内蔵の急冷にチラー水を使っている。

米国ポートランドの雲丹加工工場では、米国ボストン周辺からその北のカナダで捕れる雲丹を水揚げし、身を取り出し、きれいに並べてパックして日本に送っている。

この身を取り出したあと、一度洗浄してゴミを取り除き、そのあと仕上げ洗浄をしてから盛りつけるが、この洗浄水を以前は常温の水道水を使っていた。しかし十年ほど前HACCPを構築し始めたとき、この水の温度ではダメだと分かり、チラー水設備を入れた。温度は4℃設定。これにしたら、雲丹の鮮度がよくなり、ミョウバンの使用量が激減した。ミョウバンを入れるのは雲丹がどろっとするのを防ぐためなのだが、雲丹を急冷することで、ミョウバンの使用量が減り、鮮度と味が良くなり、販売量が増加して行った。

カット野菜工場では洗浄にチラー水を使っているが、小型の惣菜工場等でサラダ用に野菜をカットし、洗浄するのに、氷水を使うとパリッと仕上がる。野菜の場合は塩は使わない、氷だけ。

3-1-7.清掃洗浄メンテナンスをやりやすくする

1)大掃除

整理とは、要らないものを捨てることで「大掃除」だ。

整頓は、必要なものを、置くべき所に置くこと。

こうなると、清掃洗浄がやりやすくなり、ますますきれいになる。

そこで、異物混入が無くなる、という良い結果になる。汚れた箇所をデジカメで接写し、驚愕の印象を従事者に与えたあと、恐怖感をわすれないうちに早速大掃除に突入するとよい。