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2)清掃不要の工場にする

清掃、洗浄しなくていつもきれいだったら、一般的衛生管理の運営は楽だ。そんなことが出来るか?と思うかも知れないが、いろいろとある。

a)排水溝をうめてしまう

[1]道路を見ると、蒲鉾型に中央を盛り上げ、両サイドは「R」が付いた滑らかな溝になっていて、蓋は無くオープンで、雨が降れば自然にゴミも流し去る構造になっている。落ち葉や、ルール知らずの連中が捨てるゴミを掃除しさえすれば、クリーンな道路が自然に保持されるようになっている。こういった構造を食品工場に、取り入れればいい。

食品工場の排水溝の清掃は、蓋を外して、内部を清掃し、蓋の裏面もブラシをかけ、蓋が乗っている溝も清掃しなければならない。排水溝は一般的な建物の建築工事で行われているところが多く、清掃が楽なようには考えられていない。古い工場では蓋を乗せる溝のクラックもかなりあり、きれいに清掃するのは大変である。大変だから「そのうち」となり、細菌と虫の発生源になっていく。そんな排水溝で、もし台車の移動などが無いのだったら、へこました状態でうめてしまえばよい。凸凹の凹型になっている溝をうめて、浅い皿のようにしてしまえば、排水の流れはそのままで、蓋は不要で、床清掃と一緒にブラシをかけてしまえばきれいになる。

b)蓋付き排水溝が壁側だったら

壁側で、人やキャスターが通らないのだったら、蓋を取り去ってしまえばよい。フタが無いから清掃は溝内をブラッシングするだけで良い。改造費はタダ。床の改修をするのだったら、この溝も半分埋めて内部を滑らかにし、塗り床と同じように仕上げれば、汚れはさらに付きにくくなる。この排水溝の一部が通路にかかっていたら、そこだけ蓋を残しておけばよい。全て蓋で覆っているよりも一部の蓋が残っているだけなのでこれだけでもかなり楽になる。

c)蓋付き排水溝が中央だったら

作業台の下や、機械の下にある蓋は危険が無いのでこれは取ってしまう。後の蓋はそのままにするが、清掃の方法を変える。普通は蓋を取って内部と蓋を清掃し、蓋を元に戻してお終りとなるが、新しい方法は、蓋を清掃したら元に戻さないで、溝なり他の近い場所に立てかけておくのである。

「清掃後の蓋を元に戻してはいけない」のである。ほんの少しだが早く帰れることになるが、それだけではなく、早く乾燥するので、湿度低下とカビ対策に良い。一般的衛生管理の実施には、清掃した人以外が「確認」することが必要だが、これだと目視確認がすぐに出来る。そして蓋は翌朝作業が始まる前に戻せばよい。

カッティング作業など、作業台に張り付くときの作業者の足下の板や台の清掃も同じで、裏側まで清掃したら、元に戻さないで、作業台の脚などに立てかけて帰ればよい。乾燥と清掃確認作業のために良いのは同じことである。

d)埋めつぶし

ある工場で、工場内の階段の下と奥が清掃しにくく、虫の発生原因になっていることがわかった。そこでどうやって清掃したら良いかを検討したのだが、良く考えてみたらこの場所は全く使っていないので、モルタルでうめてしまえとなった。階段の下はうめられて無くなったので清掃不要になった。別の工場では、冷蔵庫の上のすき間が埃だらけになっていて、この清掃が大変だったので、階段の下と同じ考え方で、密閉してしまった。ここも清掃不要になったのである。