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が見つかった。検査は納入先の流通センターで行われたため、すぐに出荷停止処置をされた。同じロットのいくつかの製品を追加検査したところ、他のパックでは問題なかった。なぜ一パックの製品だけが問題になったのか不明なまま、原因の追跡がされ、約一ヶ月分の納品が止まってしまった。

工場内をくまなく調査したところ、最終のインナーパック機の天井部分に結露があるのが見つかった。調べたところ、一般生菌がたっぷりと含まれていたのである。結露はちょうどフィルムパックする手前の部分の上辺りにあり、これがパッケージ直前の製品に落下していたわけだ。たまたまこの結露が落下してしまったパッケージが、偶然にも検査サンプルになってしまったわけである。工場での対策は、パッケージ機の上にカバーを付けた。

工場クリニックではパッケージ工程部分の上からの結露やゴミの落下が無いかチェックする。

ある豆腐工場は、かなり古く、建物は大きく、天井はボーリング場のように高く斜めになっている。蒸気が多いために、天井部分は黒カビがびっしりと付いている。製造時にはかなりの蒸気があり、これが結露になっている。

これを何とかするために、3メートルぐらいの幅で、長さ百メートルのロールになっている物流パッケージ用のビニールシートを持ってきて、パッケージの上部分にだけ張って、2週間ごとに取り換えるようにしている。

7)メンテナンス

機器を正常に運転出来るように管理することで、製造ロスや失敗を防ぐと同時に、機器からのビス、部品、フィルター破片などの落下を防ぐ異物混入対策になる。

ある工場で、製品から黒いゴミのようなものが出てきたクレームがあり、調べたらカット機内部の隅に詰まっていた古いカビが落下したものだった。他にも落下の危険があるカビが詰まっていたので、毎週分解清掃をすることにした。

この対策と同時に、他の製造機器にも同じような問題が無いか調査したら、いくつも出て来た。シリコンコーティングにひび割れがあって落下寸前になっていたり、パッキンの老化、汚れの詰まりなどが発見されたので、それぞれの状態に合わせた頻度を決めて定期的な分解清掃と点検を行うようにした。

この活動を続けてしばらくしたら、それまで時々機器の調子が悪くて停止してしまうのが当たり前の状態だったが、すっかり解消されてスムースに製造出来るようになった。無停止での製造になったため、効率が良くなり、結果的にコストダウンになった。「メンテナンス」はコストダウンに繋がるのだ。

[1]「メンテナンスシステム」を作るためには、まず全機器の点検を行ってみる。それぞれの機器の状態によって、問題が発見されることが多い。その状況に合わせて、洗浄やメンテナンスの頻度が大体分かる。毎週、毎月、年に1回といったチェックリストにして実施する。実施を続けて 行き、より効果的な頻度に調整して行く。

この時、ビス、フィルターなど落下の危険があるものもリストアップしておく。

ビスやネジ類だが、メンテナンス時にしょっちゅう外すものは、可能であれば蝶ネジや蝶ナットに替えてしまう。これなら工具無く外せるし、万一落下してもビスよりもかなり大きいので発見が容易だ。

8)ふき取り検査を始める