8)ふき取り検査を始める
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計画的な清掃洗浄が始まったら、ふき取り検査が必要になる。ふき取り検査は「シート培地」なら1回100~250円程度、「スタンプ検査」なら150~600円程度〔どちらも恒温器があったほうがよく、これは小型で3万円程度のものがある〕、ATP検査器なら小型の機械で10万円を切るのが出ていて、1回の検査は240円ほどだ。

ある惣菜工場では、時々行っていたシート培地を使った拭き取りとスタンプ検査で、あまり良い結果が出ていなかった。春になって暖かくなり、食中毒対策を強化しなければならない重要事態になって来たので、すぐに結果が分かる「ATP検査」を購入して対処することにした。

まず、施設内の出来るだけ多くの所を検査した。それぞれの製造室がいったいどのような状態になっているかをとにかく知りたかったからだ。

購入したばかりのキット百本を、下処理室、調理室、盛り付け室、洗浄室と、広域に検査したが、それぞれの作業室の中には3つのカテゴリーがあると考え、バランスよく検査することにした。以下のカテゴリーを設定した。

  1. 食品が直接接触する部分や面:ナイフ、まな板、調理機器の食品が触れる場所、ミキサーや加熱釜の内側、コンベア等。
  2. 人の手が触れる場所:冷蔵庫の取っ手やドアノブ、調理機器の握る場所、機械のスイッチ等。
  3. 以上以外の場所:壁、作業台、機器の周りや上部等。
  4. その他、手洗い後の従事者

これらに加えて、従事者がサニタリールームから作業室に入って来た時、つまり手洗いが終わった直後に、何人か捕まえて手指も調べた。

不合格のラインだが、食品が直接接触する部分は、200以下、それ以外は1000以下が合格、と言った目安で見てみた。

キット一本約300円なので、3万円かかったが、これでどこがどの程度汚染しているかよくわかった。古いまな板の表面、新しいまな板でも縁がひどく汚れているのが見つかった。古いまな板は傷が多いので、その部分が汚れていたのだ。時間をかけて力を入れて洗浄しなければならない。まな板の縁はその後の検査でも汚れているのがちょいちょい見つかった。マニュアルを作って徹底しなければならない。

その他のカテゴリー2と3で問題があったのは、冷蔵庫の取っ手、水道の栓、ドアノブ、機械のスイッチの特に滑り止めの刻みが付いたダイヤル、盛り付け室コンベアの裏側、下処理室にある野菜洗浄後の脱水機の籠、その他かなりの箇所が不合格だった。

早急に、ドアや取っ手は肘で開けられるタイプに変更できるものはした。水道の栓も取り替えた。手洗いで、結果が悪かった従事者は指導した。

次に、カテゴリー1の食品が直接接触する部分、中でも加熱後、冷却から盛り付けが終わるまで の間の工程と、和え物やサラダ等、全行程で加熱が無い製造では、原材料を開けた所からインナーパックまでのすべての工程に付いて重点的に10カ所を毎朝、1ヶ月間続けてみた。

カテゴリー1以外の場所については、毎日10カ所をランダムに検査した。柔軟にあちこちの検査を続けたところ、かなり良くなって来た。そして製品検査の結果も平行して良くなって来た。以前

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