4)捕獲とモニタリングの使い分け
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場内では最低でも、外の気圧とは陽圧になるようにする。

記号でいえば、外の気圧が「±」の場合、一般ゾーンは「+」、準清潔ゾーンが「++」、清潔ゾーンが「+++」となるようにする。

こうすると工場全体が外に対して陽圧になるので、ドアやシャッターを開けた時、工場内から外に向かって空気が流れる為、虫が進入しにくくなる。

これが反対になっていると、外から工場内に空気が入ってきてしまうので、一緒に虫が入ってきてしまう。一度外との接点の風がどちらに向かって吹いているか調査してみたらいい。

4)捕獲とモニタリングの使い分け

虫を捕獲して、虫の種類や、外部進入か内部発生かをモニタリングする機器は一般的に使われている。分析によって防虫活動を行なえるので、効果的だ。

これとは別に、とにかく虫を捕獲殺虫するのに特化した機器も使うようにしたらいい。というのは、いくら対策を強化しても、ある程度の進入は避けられない。そこで、入荷口、出荷口といった、外部進入が明らかな所に、虫を捕まえるだけの為の大型の機器を設置するのだ。殺虫した虫の数を自動的にカウントする機器もある。

5)樹木、ハーブ、ニーム

防虫の為には食品工場の周りに樹木は無い方がよい。しかし、工場緑化法対応などで樹木を植えなければならない場合、可能ならば虫の好まない樹木を植える。

虫が好む樹木は、桜、杉、椿、つつじ、サツキ、クチナシなど。好まない樹木は、桧、ヒバ、楠、カシ、シイ、ジンチョウゲなど。

畑の周囲に、ハッカやカラシなど、ハーブ系の草木を植えているのを時々見かける。これは、ハーブ系は虫が嫌うので、虫を畑に寄せ付けない対策だ。オーガニックの生産等でよくなされている。

ニームというのは南方系の木で、イナゴの大群が来て農作物を食べ尽くされても、ニームの木だけは何ともない所から防虫に利用されてきており、近年、欧米を中心に天然で安全性の高い殺虫剤の成分として需要が高まっている。

効果は学術的にも証明されており、ポジティブリストで「使ってもよい」物質に指定されている。

日本でもいくつかの企業が防虫資材として製品化をしている。

使い方は、入出荷口周りに塗る(1~3ヶ月頻度)、工場内の床や排水溝周りに撒く(毎週)といった方法。工場周囲の草木に撒いても効果があるので、青果農畜産物の生産場所にも使える。

3-1-11.個人衛生の設備と方法、ルール

1)毛髪の抜け替わり

人の毛髪は1日平均70本程が抜け替わっている。工場で仕事をしている時間からすると24本程が抜け替わっており、全部落下しないのは引っかかっているからだ。工場に100人仕事をしていたら2400本もの毛髪が「引っかかって」いて、そのうちのある程度は落下している。大変な本数になり、これがわずかな確率で食品に混入してしまう。

食品への毛髪混入は惣菜弁当といった人手のかかる製品で

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