- 低コストでの導入とHACCPの導入事例 - https://haccp.zenkaren.net -

74

3)細菌検査の方法

[1]細菌検査は、簡易検査、迅速検査、公定検査といったレベルがある。

簡易検査は、シート培地を使う。1枚2百円台程度のシートに、サンプルを希釈した液を乗せ、フィルムを被せてから2万円程度の小型恒温箱に48時間入れて培養し、結果をカウントする。

迅速検査は多くの機器があるが、その一つの「DOX」の小型器の方では、30検体を1度、あるいは並行して検査出来る。結果は最短では6時間で判明。

使い方として例えば、食材10検体、中間製品10,製品を10,合計30を同時に検査することも出来る。夕方出来た製品を迅速検査に回せば翌朝までに分かるので、万一問題があったら出荷を停止出来る。原材料を製造に回すまでの時間に検査が出来れば、問題のある原材料を使わずにすむ。

公定検査は、公定検査システムを持っている工場か、公定検査機関に委託して行う。公定検査機関で行えば、外部に対する公的証明にもなる。

4)細菌検査の頻度と精度

検査の頻度は多いほどいいがコストとの絡みがある。簡易検査は低コストだが精度と外部に対する説得力が弱い。公定検査がもちろんいいがコストが高くつくし結果通知までの時間もかかる。

ある惣菜工場では、毎日1回10検体ランダムに検査し、その精度確認と公的証明のために3ヶ月に1度公定検査に回す。

ある弁当工場では、毎日数検体の原材料と3検体の製品の迅速検査を行い、3ヶ月に1回迅速検 査と同じ検体を公定検査に回す。

精度確認は公定検査に出す方法以外に、検査制度を訓練するプログラムもある。送られてくるサンプルの細菌検査をしてその数値を連絡すると、実際の数値とどの程度の違いがあるかを確認出来る。いくつかの機関がこの方法を通信教育のような形で行っている。

5)検査結果を継続して監視する

細菌検査は数値になるので、この数値変化を記録して監視して行く。

惣菜や弁当工場でリスクが高い料理の一つは和え物だが、これを継続して監視して行くと、春になって次第に気温が高くなって行くと、数値は安全レベルではあっても次第に悪化して行くような場合、夏場は危険だとの判断になる。そこで夏場は保存材を入れるなり、製品そのものを作らないといった安全管理につなげて行く。

傾向のパターンは、次第に悪化もあるが、不安定というのも出て来るかもしれない。いい日もあれば悪い日もある、という場合、製造機器システムが不安定、あるいは加熱殺菌の温度管理が不安定、もしかすると作業者の技術、つまりは力量の差がありすぎる、等と