2)「原材料のトレーサビリティ」を最低レベルで構築する
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2)「原材料のトレーサビリティ」を最低レベルで構築する

自分の工場内でいくら衛生安全管理を徹底しても、最初から危害や問題のある原材料を使っていたのでは、根本的な問題は無くならない。原材料が完全に近ければ我が工場のクレームは激減すると悔しい思いをしているところはかなり多いことだろう。安全性の確保のためにはまずトレーサビリティを構築する。最低レベルで構築するだけで、何もしていないよりも飛躍的に進歩する。

a)生産履歴

生産履歴を記録してもらい、ロット毎、季節ごとなどに報告をしてもらうように義務づけることになるが、生産者としてはいきなり言われても何をどうしたら良いのかわからないところも多い。そこで、第一ステップとして「生産日記」なるものを付けてもらうところから始めたら良い。毎日対象作物に何をしたかを簡単に付けてもらうのだ。

圃場を整備した、種を蒔いた、その後の毎日の天気、肥料、農薬を使ったらその量、収穫パッケージをし、倉庫内の出荷までの温度、ノート一冊あれば出来る。このコピーが納入先にいくようにする。これでかなり目的を達せられる。

出荷時のケースには、生産者か集荷する組合などのどこかで、最低レベルの情報を箱にラベルで貼り付けるなり、少ロットならば手書きでも良いから入れる。例えば「メークイン.美瑛.加藤光夫.10/4箱詰め」といった具合に。記号、イニシャルでも良い。

b)原材料加工工場

凍菜加工、ブランチング加工、洗浄カット後のパッケージング、ポテトやごぼうなどの洗浄皮むきカットなどの半加工品工場での管理になる。

原材料の生産履歴だが、このような加工工場では一ヶ所の農家からの原材料だけを使うことはあまりなく、いくつもの生産者からの原材料をミックスして、あるいは順次使っていくことになるので、それらロットがトレースできるようにする。

最低レベルを行なうためには、生産ロットを入れた原材料を仕入れるようにして、その日に使った原材料に記載されている情報をノートにつけることである。

c)輸送

製造場所から工場までの運送中の温度を記録しておき、納入した時点での温度を計測して納入伝票に記入するなり、納入工場の検収で計測してもらう。輸送中の温度記録はタコグラフなりデジタルでの温度記録になる。工場で積み込んだ時間と、途中の経路で例えば2ヶ所下ろしていったような場合でも、積み下ろし時間と温度記録を見れば安全性を検証できる。

d)追跡

東京のデリカテッセン工場では使った原材料のロット情報は全て記録をしている。野菜類の原材料は、カット、洗浄をする下処理室に入った時点で記録される。そこで、何らかの問題でポテトサラダに使ったポテトのトレースをすることになった場合、まず、ポテトサラダの日付を見る。そしてその日使ったポテトのデータを調べれば良い。

3)多品種製造工場のトレーサビリティ
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