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13時までに野菜サラダ用1/8カットトマトが5キロ必要なので、昼休み前の12時までにこれがパススルー冷蔵庫に入っているように製造をする。これに使った原材料も朝一番のと同じロットの「8/1.A農協」なので、これをリストに記入する。

午後に入って、15時までの二種類のキャベツが必要になるので、まずフライセット用の千切りを7キロ製造する、ロットは午前中に使った「7/31.D農協」を使ったので、これをリストに記入する。

もう一つの中華炒め用ぶつ切りを製造し始めたら、それまで使っていた「7/31.D農協」が無くなったので、次の原材料「8/2.B経済連」を使って9キロ作る。ということで、このぶつ切りは、2つの原材料を使ったことになる。

このようにすると、下処理する原材料が全て明確になる。多くの原材料は一つのロットからだが、一部、この例ではキャベツのぶつ切りのように2つの原材料が混ざるものもある。2つが混ざって、もしどちらか一方の原材料のトレースをすることになった場合でも、製造したアイテムの原材料は明確になっている。

下処理室で行なうことは、製造したカット野菜のバットに「中華炒め用・9キロ」といった表示をし、製造指示書(リスト)に、どの原材料を使ったかを記入することになる。農産物の履歴番号に変わったら、その番号を製造指示書に記入するということになる。この段階で、下処理室で新しく増える仕事は、原材料を記入する、という作業だけである。

調理から出荷段階

次は調理、冷却、パッケージになる。いつも通りに製造をし、パッケージ(盛り付け)の後、製品出荷保管庫に移すときに、いつものように製造日を入れる。これは今まで行なっていた作業だ。そしていつものように出荷することになる。この工程で新しく増える仕事は無い。

トレースになった場合

出荷後、トレースをする必要が出て来た場合、そのアイテムがあり、日付がわかっているので、下処理室の記録を見ることで使用した原材料がすぐに判明する。例えばサンドイッチに使用したスライストマトは「8/1.A農協」を使っていたことがわかる。同じように他の原材料についても、サンドイッチに使用した全ての原材料はこの記録にある。

反対に、生産地で問題があった場合はどうなるかというと、その生産地あるいは特定の日付のものが自社の製品に使われているかどうかをチェックしたい場合、下処理室の記録の中に問題の原材料が無いか探せばよい。コンピュータ処理をしていたり、履歴番号で記録されていれば、探すのは簡単だ。

この考え方で、今までの製造システムをそう変えることなく、つまり製造現場にあまり負担を急増させることなく、多くの原材料を使った食品工場でのトレーサビリティを構築することが出来る。

4)トレーサビリティのシミュレーション

まず、製造している製品を一つ選ぶ。そしてその原材料のサプライヤーすべてに、トレーサビリティシミュレーションを「安全構築のため」と、お願いする。

原材料のサプライヤーそれぞれに、その原材料を造るために購入した原材料のサブサプライヤーに依頼をし、そのサブサブサプライヤーに連絡してもらう。さらにその先まで次々に。そしてそれぞれの段階でその原材料(製品)の安全データなり証明書をもらうようにする。

これを行うと、どれかのルートが途中で切れるかもしれない。そこから先がトレース不可能になってしまうかもしれない。そうすると、問題箇所、つまりは問題のあるサプライヤーが出てくることになる。

あるいは、安全証明ができない、データが出てこないところに突き当たるかもしれない。また「怪しい」ところ、ルート、サプライヤーが浮かび上がるかもしれない、不正か、などが感知できるか