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3.低コスト構築のための手法と手順

2年の構築では、最初の1年でPP(PRP)を、次の1年でCCPの構築とPP(PRP)の定着

一般的衛生管理とHACCPの構築は、多くの事例から平均2年程かかっている、日本国内も海外の例もほぼ同じである。文書や規定を作成するだけならHACCPチームスタッフだけで集中して出来るのだが、現場での実施運営が伴わない。運営が定着するようにするためには、教育訓練も含めてこれだけの時間はかかるのである。

構築の手順としては、最初の1年で一般的衛生管理(SSOP)を構築する。これによって異物混入対策が徹底するので、このクレームが多い工場ではクレームが減っていく。その後、HACCPの構築に入る。HACCPの構築の製造工程から、「CCP」を決め、工程から「PP(PRP)」を追うことで、最初の1年で構築したPP(PRP)をさらに強固なものにしていく。この2年目で、一般的衛生管理の定着とHACCPの構築をまとめる、という姿がよいだろう。

3-1.一般的衛生管理

3-1-1.認識とチームの編成

1)気付きと認識

最初に重要なことは、何故これをやるのか、という認識だ。実施する理由が明快でなければ判らない。やらなければ、という気にならない。幾らこうしなければならないといっても、何故?という疑問が潜在意識の中にあれば、現場の自主的な活動になって行かない。

[1]ある工場で、清掃が出来ていない作業室で製品を作っていた。異物混入の元があちこちにある。そこで、問題箇所をデジカメで撮影した。撮影は、まず全体を撮影する。問題箇所、つまり異物が溜まっていたり隠れていて見えないが危険な箇所を遠くから撮る。まあ、普通の視線で撮る。その後、問題箇所を接写する。製造中の食品の上にある、今にも落ちそうな異物が大きくクローズアップされる。

そしてこの後、従事者全員を集め、プロジェクターでこの写真を一つ一つ大きく写した。全体を撮影した写真を投射すると、ああ、あそこの所だ、自分の仕事場所だ、といった顔で、ただそれだけ。その後だ、問題箇所を接写した部分が大きく映ると「えぇ~~~!!」

何しろ、投射している壁一面に、ゴミ、埃、汚れ、カスなどが巨大に映るのだから、びっくりする。

10ヶ所以上の場所をこの手順で映したら、すぐに全員が理解した。

2)チームの編成

全員が認識した所で、衛生管理強化のプロジェクトチームを作る。

チームは、各現場から代表者を出す。下処理、調理、パッケージ、入出庫管理、それに品質管理から各1名ずつ。各作業室から出ていれば、チームで検討したこと、実施をしようということが、