2.衛生管理を強化し、HACCPを導入すると「儲かる」理由
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2.衛生管理を強化し、HACCPを導入すると「儲かる」理由

2-1.コストダウンが出来て儲かる10ポイント

HACCPは金がかかる、あるいは効率が悪くなる、と考える。HACCPの言葉を聞くと、設備投資がすぐに頭に浮かぶ。これらはすべて間違いである。

HACCPを構築するには今までの多くの例から言って、発想してから2年ほどかかっているのが 一般的で、いわば3年目からHACCPの本格的運用が始まるわけだが、ここまで来るとHACCP というのは売れて儲かるものだということがわかる。どうしてそうなるのか。

2-1-1.日持ちがするようになり、鮮度が良いので売れるようになる

ある無添加の食品を作っているメーカーが、HACCPを導入しようと活動を開始した。ここの製品は無添加だから日持ちがせず、それまでは4日しか持たなかった。しかしHACCPを導入してからは1週間持つようになった。もちろん原材料を変えることなく、添加物も加えていない。

なぜ日持ちがするようになったかというと、まず、工場内が衛生的になり、温度管理もしっかりするようになったので、単純に製品の細菌が少なくなったのである。

最終的に細菌が少なければ日持ちは伸びる、さらに適正な調理で、どの製品も安定しておいしい、こうなると顧客が気付くことになる。それまでは出来たばかりの製品を食べたらおいしいのだが、3日目ぐらいになると鮮度が低下しておいしくなくなってしまう。4日目を買った顧客はもう2度と買いたくない、となってしまう。ところが1週間持つようになると、4日目に買った製品も同じおいしさなので、あそこの製品はいつ買ってもおいしい、となる。評判が良くなると販売してくれる小売店も増えてくる。なぜ日持ちがしておいしくなったのかと聞かれるので、実はHACCPを導入したのだと答えると安心、納得をしてくれて、新規取引が急増した。

工場がクリーンになり、製造量も上がった、これによって製品の日持ちが良くなり、おいしくもなり、生産量も上がった。だから「売れて、儲かる」ようになる。これがHACCPの姿なのだ。

2-1-2.製造工程を整備するから生産効率が上がる

福岡県飯塚市の菓子工場「グレア」では、工場の一部の動線とゾーニングを改善し、ラインの従事者28名を23名に減らせ、人件費の大幅なダウンが出来たと同時に、時間あたり800パックだった製造が何と1200パックと、5割もの大幅な増産となる。

HACCPは製造工程を見直し、工程順に正しく一方向に作業が流れるようにする。工程の流れは、スタートは汚染区域だが、下処理をしたりするもう少し清潔な「準清潔ゾーン」に入り、調理してパッケージをする最もクリーンさが要求されるところでは「清潔ゾーン」になって、最もいい状態で安全にパッケージされた後箱詰めされ、出荷する。

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