1)管理者だけで構成してはならない、現場のリーダーを入れる
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1)管理者だけで構成してはならない、現場のリーダーを入れる

管理者だけのチームの例としては、専務、工場長、品質管理室長、工務部長、といった形でチームを組むと、多くは失敗する、何故かと言うと一般的衛生管理の基本であるサニテーションは勿論、CCPの監視測定、例えば温度チェックにしろ、その記録にしろ、全て現場で行なう。したがって、現場がまず理解していないと、何故それを行なうのか、何故サニテーションのチェックまでしなければいけないのか、何故頻度を決めなければならないのか、といったことがわからないからである。

食品工場というのはいくつかの部署で成り立っているので、各部署のリーダーが現場担当者全員に自分で解説をして、自信を持ってリードできることが望ましい。HACCP計画を各部署のリーダーと管理者が一緒に立て、部署リーダーが現場に持ち込み、実施し、そこから出て来た記録や工夫を部署リーダーがまとめる。それを今度はHACCPチームに持ち上げ、より良い計画と次のステップに役立てる、という構図になるのである。

このために、HACCPチームは、入出荷と保管部署のリーダー1名、下処理から1名、調理加工 から1名、パッケージから1名、これら現場の各リーダーに加えて、検査(品質管理室)から室長、それに工務あるいは営繕から1名、といった形で構成する。

2)HACCPチームリーダーの権限

こう言った現場と管理からなるチームをまとめるチームリーダーは、一般的には工場長か同等クラスが行うようになる。資格としては、工場内を広くわかっていることと、勿論リーダーシップがあることである。そして、大事なことがもう一つ、ある程度の費用ならばすぐに出せることである。

HACCPをバックアップする一般的衛生管理では、直ちにゴミ入れコンテナを新しく買いに行き、同時に水と残渣がたまってしまうくぼみのある置場を修繕し、大掃除と消毒を行なえば、すぐに蝿はいなくなる。このための費用を、稟議を回したり、会議にかけたりしている間に、いつまた蝿混入クレームが来るのかわからない。こういうときにすぐに金を使える権限が必要だ。金をかける価値がある。修繕した後、清掃頻度と担当者を決め、清潔維持運営していけば、工場の蝿が劇的にいなくなる。

3)重要なオブザーバー3者

正規のHACCPチームメンバーに加えて、まず、トップが入る。HACCPは活動というレベルではなく、マネージメントの問題で、経営姿勢そのものである。であるから、経営者トップ自ら加わ ることが必要になる。これからHACCPに取り組むという「トップ宣言」を出すところから全従業員の意識改革は始まる。

次に、原材料仕入れ担当責任者である。トレーサビリティが問題になっているように、自分の工場内でいくら安全管理をしても、危険や不安のある原材料が入ってきていては効果も半減である。現に、異物混入の多くの原因が原材料由来であることが多い。原材料が安全になったらどれだけクレームが減るかを考えるとため息が出る工場は多いことだろう。そのため、原材料サプライヤーに対しても、自社工場と同じようにHACCPに取り組んで欲しいと要請をするようになるわけで、そのためには直接窓口である原材料仕入れ担当者がHACCPを理解し、その構築まで出来ることが必要である。

そして、営業担当者である。HACCPを構築し始めていることそのものが営業になる。HACCP構築の苦労話を販売先に漏らせばよい。そして最も重要なことは、自社の製品を納入後、どのように安全に管理してもらうかをお願いするために、HACCPの方式は大きな力を発揮する。

手順2:製品の仕様、使用法について確認する

手順3:食べ方、使用法について確認する

これは、HACCPの対象製品を決め、この製品についての情報をまとめる。どのような製品かを

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