4.HACCPの導入と衛生管理強化後の取材レポート
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4.HACCPの導入と衛生管理強化後の取材レポート

これは、HACCP手法支援法の高度化認証を、全菓連から得た5工場を取材し記録したものだ。取材の目的は、衛生管理を強化した結果だけでなく、投資効果、コストダウン効果、さらには販売動向も含めた経営環境までを聞き、これからの導入を考えている企業の参考になるべくまとめた。

4-1.製造動線の改善で1.5倍の生産効率アップを達成:グレア(飯塚市)

2010/9/1.原隆史本部長、永峰彰生産推進部長に取材

高度化までのステップ:外販の拡大のため衛生管理が重要になった

グレアの本体「さかえ屋」は1949年から福岡県飯塚市で菓子小売業としてスタートした。工場、店舗とも拡大し、1984年に平恒工場が稼働し、グレア製菓が自社小売店以外への拡販、外販を拡大してきた。

全国に出て行く時に衛生管理が重要になってきたし、同時に直営店に対してもやって行く必要があることを意識した。

グレアの拡販は延びてきたが、食品への安全安心志向に対して対応が必要となり、2009年に全菓連のHACCP手法支援法対応事業に参加した。

生産と衛生管理体制を調査すると、平恒工場は多様化する受注に対応を続けてきたため、問題が浮き出て来た。

特に高度化対応として以下のポイントが出て来た。

  1. 原材料受け入れ口での汚染進入危害
  2. 製造における動線とゾーニングの不備
  3. 製造における非効率(無駄)

活動の初期(2009年秋)に、20数名が、社内で三日間の「HACCPリーダー養成セミナー」を受講することが出来た。これで動機付けと意識が分かってきた。

何のために行うのか、という意識が重要。

進めて行くに従って、現場から素朴な質問や要請が出てくるようになった(カビ、湿度といったこと)。積極的になってきた。

進行中、修理、錆、虫、といった新たな欠陥が続々と出て来た。これは今まで気が付かなかったり、気にしていなかったことだ。

投資効果:人件費の大幅なダウンと、時間あたり製造量が1.5倍

認定対象ラインの従事者28名を23名と、人件費の大幅なダウン。時間あたり800パックだった製造が何と1200パックと、5割もの大幅な増産となる。(取材時点では改善工事がまだ未着手)

認定対象ライン部分についての投資は一千万円ほどだが、生産アップから計算しただけ

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