8)不定期な手洗い後の検査
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西日本のある生鮮パックセンターで、納入先の抜き取り検査で、一般生菌の限度を超える異常値が出たため、すぐに出荷停止され、調査を指示された。

調査をしたら「最近入った人で、手を洗わない人がいる」という話が出て来た。何故かと聞いたら「手袋をするのに、なぜ手を洗わなければならないのですか?」と、逆に聞いてきた。

そこで教えた。手袋をするには、箱に入っている手袋を取り出さなければならない。この時汚れた手で、手袋の外側が汚染することになる。外側を汚染された手袋で食品をさわれば、当然その食品は汚染される。一方手袋に付いていた細菌は、食品が手袋の表面に付くので、元気に増殖する。作業が終わり、あるいは休憩やトイレで手袋を外すが、汗をかいた手の上で細菌はこれもまた沢山増殖している。そして再び手洗いしないで手袋をすると、前回よりも更に手袋表面を汚染することになるのだ。

この人は盛り付けラインに入っていて、汚れた手袋で何時間にもわたって食品を直接汚染していたのだ。

サニタリールームやトイレに手洗いの手順はイラストでわかりやすく表示してある。しかしその前に、なぜ手を洗わなければならないかを全従事者に教育し、手洗いマニュアルと一緒に掲示した。

教育後のアンケートで再度驚いたのは、同じように疑問に思っていた人が2割ほど居たことだ。疑問に思ったまま仕方なく手を洗っていたのでは、しっかり洗えるわけはない。

なぜその温度なのか、なぜ扉はすぐに閉めなければいけないか、なぜ扉は肘開けしなければいけないのか、なぜ土足でプラットフォームに上がってはいけないのか……、従事者全員が認識していなければならない。

8)不定期な手洗い後の検査

手洗いが出来ているかを検査するには、頻度も決めて、具体的にいつやるかはその都度変える。

ある工場では、1ヶ月に1度手洗い後のふき取り検査をATP検査でやるが、その月のいつやるかは決めない。4月、月半ばの月曜日にやったら、5月は月末にやり、6月は1日にやった。5月31日のあと、翌日の6月1日で、2日続けて検査する場合もある。いつ検査になるか分からないの で、常に手洗いを徹底することになる。ランダムに近い状態だ。

検査の場所は、手洗いが終わったあと、手洗い場所から見えない工場側に入った所に待機していて「今日は手洗い検査です」と、全員やる。当然渋滞し、作業開始は遅れるが、月に1度の重要な検証なので、検査優先にする。

数値が悪かったら、再手洗いをしてもらい、再検査をする。そして数値を発表する。

スタンプ検査でも出来る。スタンプ検査の良さは「汚れが見える」ところだ。

9)「休憩時のタバコをどうしたら?」

タバコの匂いは、いくら気を付けても作業衣に付く。作業衣を脱いでも、顔、頭、それに食品を

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