3-3-9.重要事項はトップに報告して指示を仰ぐ
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3-3-9.重要事項はトップに報告して指示を仰ぐ

緊急事態はすぐにトップに報告するのはもちろんだが、細菌検査はふき取り検査の傾向や教育の効果測定など、急ぎはしないがどのような状態にあるのかが重要なものについては、年に2回程度でいいのでトップにまとめて報告するミーティングを開く。トップは現場がどのような状況なのかを掴むことが出来るし、このような会があれば報告しにくいことでも出しやすい。

3-3-10.安全活動が正しく機能し、実施しているか、年に1~2回監査する

1)内部監査

年に2回程度は内部監査を行う。ISOの経験が無いとどのようにしたらいいのか判らないかもしれないが、難しいことではない。工場の活動で食品安全に関係する内容が出来ているかを見る。具体的には、チェックリストが正しく付けられているか、加熱調理の温度監視が出来ているか、頻度や方法はそれで良いか、製造環境と食品の検証が行われていて、その結果に問題はないか、データの変化を観察して問題はないか、といったことを見ていく。HACCPの構築資料から監査のチェックリストが出来る。それにパトロールやクレームのデータを元に統合したチェックリストを作成する。1度内部監査を行うと、これを基に次のステップのリストに更新することが出来る。

2)内部の相互監査

内部監査は、HACCPチームや、チームが担当者を選んで定期的に行うことが多い。簡易的なものを「衛生パトロール」などと呼んで毎月、本格的なものを「内部監査」として半年ごと、といった頻度になる。

内部監査の1つの方法として、内部のグループがお互いに監査をする「内部相互監査」がある。ある惣菜工場では、調理、寿司、盛りつけ、値づけと振り分け、配送、事務所、の5ブロックに別れていて、このグループ間での相互チェック機能を持たせている。寿司を調理が、寿司が盛りつけを、盛りつけが値づけと振り分けを監査するわけだ。清掃がされているか、記録をごまかしなく付けているか、運営が決まり通り行われているか等をチェックする。相互の組み合わせは時々変え、新鮮な目で監査できるようにされている。

3)複数の工場や、リテイルで多店舗を持つ工場の、ファックス監査

数十以上の小売り店舗を持つ本部が、各店舗での衛生管理が行われているかを監査あるいは監視するにはスーパーバイザーを巡回させたりといった手間がかかる方法になってしまう。こういう場合ファックスを利用する手がある。

毎月、日を決めないで、指定日のチェックリスト、記録を、ファックスで提出させる。例えば、4/1 に、「3/15の清掃チェックリストを送ること」というファックスを、本社から各店舗(工場でも可能)に一斉に発進する。きちんと実施、記録していないと、すぐに返信できない。その次は、5/10 に、「5/1のCCPの記録を送ること」という方法。費用がかからない。いつ、どんな指示が来るかわからないので、きちんと行うようになる。

4)いくつかの監査方法を組み合わせる

例えば、毎月「衛生パトロール」をHACCPチームが行い、年に2回監査チームを組んで本格的な監査を行ない、それとは時期をずらせて「工場相互監査」を年2回行ない、さらに時期をずらせて外部監査機構の監査を行う、といったプログラムを組めば、多方面から監査が出来、欠点や問題点も見つけやすくなる。

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