2-2-6.加熱工程が無いから出来ない、という誤解
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して、ゆっくりと細菌は色々いることを知っていけばよい。皆ゼロからスタートするのである。

2-2-6.加熱工程が無いから出来ない、という誤解

HACCPはCCPを決め、そこに集中する。「CCP」とは危害を食い止めるためのかなりの効果があるところである。CCPの代表的なものは「加熱殺菌」である。では、加熱殺菌工程が無い製品 で、金属探知機もなければ、CCPが無くなってしまう。それならばHACCPは出来ないではないか、と考えてしまう。しかしそんなことはなく、確実なCCPが無いHACCPなどいくらでもある。

例えば魚の切り身のポーションカット工場には加熱工程はなく、一般的衛生管理で行なうことになる。このまま行けばCCPは無い。しかし、工程の中で、特に重要な一般的衛生管理については、自主的にCCPにしてもよい。

例えば直接食材に触れるまな板の徹底洗浄殺菌と2時間毎の交換。カット野菜工場では洗浄水の塩素濃度のチェック。

2-2-7.検査機器が無いから出来ない、という誤解

正確な検査機器は高価だし、スタッフの技術も必要だ。ハードとソフト両方のコストはかなりのものになってしまう。「きちんとした検査機器を用意することをおすすめします」という監視側の立場にいる人に言われることもあるという。しかし、中小工場ではなかなかそうは行かない。

HACCPは簡易検査だけでも十分に構築運営できる。簡易検査の検証のために、専門機関や公的機関の検査に依頼すればよい。例えば、製品の簡易細菌検査を製品のロットごとに行ない、毎月1サンプルを専門機関に出す。専門機関に出したのと同じロットを工場内で簡易検査をしているから、その誤差があるかどうかをチェックする。誤差が問題無ければそのまま進めればよい。毎月一度内部簡易検査の信頼性を外部を使って検証することになる。対象の製品を増やすとか、専門機関に出す頻度を多くするなどは、「信頼度」、「誤差」、「コスト」などを考慮して決めていけばよい。

2-2-8.監査体制構築が大変、という誤解

偽装事件が続々と発覚する中で、悪意のある行為、犯罪、詐欺といった、明らかに騙す目的で行われることは、疑いをもって調べなければなかなかわからない。しかし、つい忘れてしまったとか、面倒だったのでちょっとサボった、といったことが無いようにするためには、それほど完ぺきな監査体制を構築するまでもなく、常識的な手法で管理できる。

正しいと思って行われていることや、以前から長い間行われていたことが、外から見て、問題があったり、もっと良い方法があるということも、前向きな意味の監査体制によって発見されることが多い。

積極的にもっとHACCPを良くしようという目的のために監査を活かすことが、製品と企業を良 くすることになる。

監査は、内部監査と外部監査の両方を行なう。内部監査は、その作業を行っていない人が、客観的に評価するわけなので、作業者以外で、製造がわかっている人が良いことになる。一般的衛生管

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