2)CCPかCCPでないか
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刺し身、サラダ、日本には生食の食品が多いので、HACCPをやっていったら、CCPが無いことがわかり、どうしたら良いのかわからなくなってしまう例も良く聞く。

正しくはどうか、一つはPP(PRP)だけで管理をするHACCPになる。もう一つは、本来の意味でCCPではないが、工程の中の重要な工程について、PP(PRP)なのだがあえてCCPにして管理をする方法もある。

例えばチルドの魚を原材料として仕入れ、刺し身用のサク状態に加工をし、飲食店へチルドで出荷する場合、原材料の温度が高く、例えば4℃以上になった場合、ヒスタミンの生成、ボツリヌス菌、腸炎ビブリオといった危害が出て来るので、受け入れ時の温度は重要になる。この場合もし7℃だった場合どうなるかというと、原料魚が何らかの汚染を持っている場合、工場到着時にそれが増殖していることになるので、直接危害に結びつく可能性がある。しかし、危害を持っていない場合は問題無いだろう。

さて、どちらの場合も、もし4℃以下で管理された状態で工場に入荷した場合はどうなるか。微小な危害を持った状態で入荷するものがあった場合、工場内の管理が良くて理想的な状態で加工できれば、危害はあまり増殖することはなく出荷になる。しかし工場内の製造管理が悪い場合、増殖をし、危害に結びつく可能性は出てくる。

ではどうすればよいか。一つは入荷時にサンプルを取って細菌検査をすることと理論的にはなるが、鮮度が売り物であるから、細菌検査の結果が出たときにはもう出荷をしてしまい、早い場合には消費されてしまう。早朝に水揚げした鮮魚が刺し身用のフィレになって航空便で東京に夕方到着し、その夜に「今朝あがった淡路島のハモ」が料理店で出されるのである。

ということで重要なことは「入荷時の温度が4℃以下」ということになり、これで入荷すれば、微小な汚染があっても、工場内の管理さえよければ危害にならないことになる。であるから、ここをCCPにすればよい。4℃以下は危害細菌などを死滅させることは出来ないが、危害を食い止める重要なポイントなので、劇的では無いが、あえてCCPにすればよいのである。

活魚を刺し身用のフィレに加工する工場では、受け入れ時「活きていること」をCCPにしても 良い。貝類のむき身加工では、むき身にしたあとの洗浄水と冷却水の温度を「5℃以下」にすることをCCPにしても良いし、PP(PRP)でも良い。しかしあえてCCPにすることで従業員に「重要性」を意識づける考え方もある。

CCPが無い場合、重要なPP(PRP)をCCPにしても良いのである。実際欧米の魚加工工場で入荷時の温度をCCPにしている工場はいくらでもある。

2)CCPかCCPでないか

カット野菜、サラダのCCPは?

カット野菜やサラダの製造工程では、食品(野菜)から食中毒危害を除去できる加熱殺菌工程が無いので、金属探知機以外にCCPは無い。

あるカット野菜の工場では、カットした野菜を洗浄するのに、4連の自動洗浄ラインを通している。素洗いをした後、水道水よりも濃度の濃い塩素水で殺菌洗浄をするが、この塩素濃度と水温をCCPにした。その後普通の水道水ですすぎ洗いをしている。

ある弁当製造工場では、生野菜の洗浄を、塩素濃度の濃い水で殺菌洗浄するのは、人が食べるものを、塩素でかえっていったん危険な状態にさらすことになる、という判断から、機能水、酸性水を使って洗浄するようにした。

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